お腹の病気
Pediatrics
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いわゆる盲腸炎で、虫垂内部の細菌性、化膿性感染が病態です。5歳前後〜学童期から成人で症例を認めます。発熱、始め上腹部痛、嘔吐で発症し、腹痛が次第に右下腹部に移行、固定します。右下腹部の圧痛、反跳痛、腹壁の筋性防御を認めます。血液検査で炎症所見、腹部レントゲンでイレウス像、腹部エコーやCTで腫大した虫垂、虫垂周囲の浸出液や腹水を認めます。虫垂炎の家族歴が関連することが報告されていますが原因は不明です。軽症では入院の上、絶食、抗生剤静注が行われますが、経過不良の場合や腹膜炎合併の場合は外科的切除となります。
ウイルス性胃腸炎、ロタウイルス胃腸炎、ノロウイルス胃腸炎等は、腹痛、下痢、嘔吐の稿で触れましたのでご参照下さい。
ストレス、胃酸過多、解熱鎮痛剤の使用、などにより胃粘膜の炎症が生じます。食前に心窩部(みぞおち)に疼痛を認めます。軽症では胃粘膜保護剤、制酸剤の投与、刺激物を避け消化良好なものを摂取するなどの食事療法で観察しますが、無効例や中等症以上では胃酸分泌抑制剤が用いられます。ストレス緩和や薬剤の休薬も重要です。
消化管感染では、食中毒様の発熱、嘔吐、水様性下痢で急性に発症することもあれば(クリプトスポリジウム)、繰り返す下痢と体重減少、腹部違和感など慢性の症状を呈する寄生虫もあります(条虫症)。飲水への寄生虫混入、汚染、川魚の生食、豚牛肉の生焼け、などが原因となります。便中の虫卵を検出して診断します。血液検査では好酸球増多を認めます。抗寄生虫薬を内服します。
東南アジア、インド渡航歴がある場合、赤痢アメーバの感染があります。
マラリアは、マラリア原虫の赤血球への感染で、悪寒、発熱、溶血性貧血、脾腫を生じます。
幼児期〜学童期の小児に多い寄生虫症です。経口感染し肛門周囲に痒みを生じます。発熱、下痢は認めません。虫卵を確認し駆虫剤を内服します。
発熱、強い腹痛、下痢、嘔吐などで発症します。水様性下痢〜粘血便を認めます。病原性大腸菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌、キャンピロバクター、等が原因菌としては多いです。ウイルス性に比べて腹痛が強いこと、便性、食事歴、などから疑い、便培養を提出します。抗生剤内服で治療します。
腸間膜リンパ節炎を起こすことがあり、1〜2ヶ月、腹痛を訴える場合があります。
キャンピロバクター腸炎では、交差免疫によりギラン・バレー症候群を呈することがあり、運動麻痺が認められます。同症候群は呼吸筋麻痺に進行するリスクがあるため、入院管理の上、精査加療が必要です。