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循環器疾患(小児・内科)

Circulatory organ

Pediatric and Adolescent Cardiology循環器疾患(小児・内科)

1.学校心臓検診

1次健診で心音や心電図で所見(本稿以下の項目など)を指摘された児童、生徒さんの2次健診、3次健診を診療致します。

2. 心雑音

1)機能性心雑音
正常な心臓から聴取される無害性心雑音です。聴診による心音で鑑別可能な場合が多いです。念の為、心電図で評価しておくとより安心です。
2)器質性心雑音
肺動脈・大動脈近辺の狭窄、弁膜症、心室中隔欠損(心臓に穴)、動脈管開存(胎生期血管の遺残)などに発生し聴取されます。胸部レントゲン写真、心電図、心エコーなど、精査が必要です。

3. 不整脈

不整脈

心臓は安静時、1分間に50~70回前後の周期で電気的興奮と再分極とを繰り返し、①同結節→②心房→③房室結節→④心室、の順に正常な電気的興奮が伝達され、次の興奮に備えて⑤再分極します。これら4カ所のいずれかを起源として不整脈が生じます。不整脈が生じると、脈が飛ぶ、脈が乱れる、動悸がする、などの自覚症状が生じることがあります。

1)心室性期外収縮
④心室起源の不整脈です。心臓外来の不整脈では最も症例が多いです。正常とは異なるQRS波形を認めます。T波の上に入るQRSはR on Tと呼ばれ心室頻拍(VT), 心室細動 (VF)のリスクが高いとされます。
2)上室性期外収縮
心室より上の3カ所、①~③で起こる不整脈です。
P波の形状やタイミングに異常を認めます。
3)房室ブロック
③の伝導が途切れることをいいます。脈が飛びます。小児では先天性心疾患やその術後で主に問題となります。
心房P波と心室QRS波の間が0.20秒より長いもの1度の房室ブロックと呼びます。P波の後ろにQRS波が続く時と、続かない時が混在するものを2度の房室ブロックと呼び、睡眠時に見られるMobitz I型(Wenckebach現象;PR間が1拍毎に延長し、やがてQRSが脱落)は若年者に多く生理的です。Mobitz II型2度(PR間は一定に維持されるが、伝導が断続的に途絶する)、III度の房室ブロック(P波とQRSが完全に解離)は、徐脈の進行、血圧低下、意識消失へと病状の進行を認める場合があり定期検査が必要です。
Mobitz II型以上の房室ブロックは常に異常なので、徐脈や血圧低下により眩暈(めまい)や失神を来すようであれば薬物療法やペースメーカー治療が選択されます。
4)WPW症候群
Kent束と呼ばれる副伝導路が②心房-③心室間に存在し(多くの場合先天性)、発作性上室性頻脈の原因となります。副伝導路により心電図にデルタ波を認めます。小児の学校検診で0.1%に認めら、疫学では全人口の0.3%, WPWのうち0.1~0.3%/年が心房細動(成人で多い)の合併により心室細動で突然死を起こすとされます。小児のWPWでは発作頻度は12~80%と報告により差があります。WPWの若年者(0.1-25歳)256人中、6名(2.3%, 0.07-19歳;平均12.3歳)に生命に関わるイベントがあったという報告もあります。
薬物療法(ジギタリス、β遮断剤)や高周波アブレーションで治療されます。
5)多源性心室性期外収縮
心室性期外収縮は多くの場合、focus(起源)が1カ所ですが、稀に複数起源の期外収縮を認める症例があります。
6)頻発性心室性期外収縮
1日3,000発(1日の心拍数の約3%)以上を頻発型とすることが多いようです。単源性、多源性に分類されます。

期外収縮は正常者でも1日数十回は認め、ストレスや睡眠不足、疲労、成人では喫煙、アルコール過多で増加します。ホルター心電図やトレッドミル運動負荷心電図で、運動時に期外収縮の増加がないことを確認する必要がありますが、基礎疾患がなければ殆どの場合(一部を除き)、予後は良好です。運動制限も必要がない場合が殆どです。 経験上、小児期に診断された頻発性心室性期外収縮でも、高校~成人期にかけて自然消失する症例が殆どです。

4. 心電図異常

1)不完全右脚ブロック(IRBBB)
学校心電図健診で指摘される方が多いです。多くはIRBBBの所見だけで、心疾患を認めません。しかしIRBBBを呈する児の中に、心房中隔欠損や部分肺動脈還流異常を認める場合があります。IRBBBのパターンに応じて、胸部レントゲン写真、心エコーによる精査が必要です。
2)デルタ波(WPW症候群の項参照)
Kent束を伝導する電流が心房-心室興奮の間に三角形(デルタΔ)の波形を形成。
3)ブルガダ(Brugada)症候群
右心系胸部誘導でcoved型ないしsaddle-back型のST上昇波形を形成。 睡眠時のVF, 心停止、失神、突然死のリスクが高いと報告されています。日本人の健康診断で0.02-0.1%の頻度で見つかると報告あり。発熱、特定の薬物(Naチャンネル阻害剤、β遮断剤、三環系抗うつ薬、リチウムなど)、遺伝子異常(SCN5A)との関連が報告されています。
4)QT延長症候群、QT短縮症候群

◎QT延長症候群(Long QT syndrome, LQTS)

心電図上、QT時間の延長を認め(QTC >= 500 msec, 成人;>=480 msec, 小児で遺伝子検査が強く推奨される)、多形性心室頻拍、TdP(Torsade de Pointes), 心室細動(VF)の発作を起こす症候群。心室再分極に関わる電解質チャンネルの遺伝子異常が報告されています(LQT1, KCNQ1; LQT2, KCNH2; LQT3, SCN5A; etc.)。1型(LQT1)では運動時、2型(LQT2)では情動ストレス、睡眠中の大きな音(目覚まし時計)、3型(LQT3)では夜間睡眠中や安静時の心イベントが多いとされます。 交感神経の興奮により致死的不整脈が惹起されるため、特に1型では競争的スポーツには運動制限が必要、2型でも運動制限が好ましく、両者で水泳中の事故が特徴的なため未成年者での競泳や潜水は禁止とされます。発作予防のためガイドラインに沿ったβ遮断剤の投与が為されます。

◎QT短縮症候群(Short QT syndrome, SQTS)

2000年に初めて報告されQTc ≦300-320 msec (<330-360の基準もあり)の心電図異常を呈し、10~20才代の男性に多く認め、心臓イベントの頻度も高いです。原因として電解質チャンネル遺伝子異常が知られ、心室細動(VF), 心房細動(AF)のリスクが高いとされます。失神や心停止の既往例には植込み型除細動器(ICD)の適応です。薬物療法ではキニジン、ジソピラミド、ニフェカラントの有効性が報告されています。

5)洞不全症候群(Sick Sinus Syndrome, SSS)
高齢者に多いとされ、I型:持続性洞徐脈)、II型:一過性心拍消失、III型:徐脈頻脈症候群に分類されます。原因は洞房結節線維化、薬物、迷走神経過緊張、虚血性心疾患、炎症性疾患(サルコイドーシス)、浸潤性疾患(骨髄腫)、代謝異常(アミロイドーシス、ヘモクロマトーシス)です。失神など重篤な症状があればペースメーカーの植込み治療が推奨されます。

5. 心原性失神

各項目をご参照ください。

6. 非心原性失神

1)起立性調節障害 (Orthostatic dysregulation, OD)
大小症状、起立負荷試験で診断します。成長期~思春期の症例が多く、車酔いしやすい、お風呂で気持ち悪くなる、朝礼での起立で眩暈や気分不快、朝起きられない、頭痛が多い、などの症状を伴います。血管自律神経、心拍数調節の不調が原因とされます。起立時に下半身に血液が鬱滞し、必要な心拍出量に静脈還流が追いつかないため、起立時の低血圧や頻脈が生じます。下半身の末梢血管を収縮させる目的で、弾性ストッキングや血管収縮剤(ミドドリン)が用いられます。こまめに適度の電解質と水分とを摂取する、規則正しい生活リズム、高温多湿の環境を避ける、毎日15分程度の軽い運動の習慣を身につける、などの対処も有効です。
2)神経調節性失神 (Neurally Mediated Syncope, NMS)
NMSは血管迷走神経性失神 (Vasovagal Syncope, VVS), 排尿、咳嗽、嚥下、食後、採血など特定の状況で発症する状況失神 (Situational Syncope), 情動ストレスにより惹起される情動失神 (Emotional Syncope), 頸動脈洞反射などを起源とする反射性失神 (Reflex Syncope)の総称とされます。VVSは起立負荷により失神を誘発し、精神的・肉体的ストレス、環境要因、脱水傾向などが発作を助長します。前駆症状に、悪心、冷汗、視野暗黒感を伴い、失神の持続時間は1分以内と比較的短いとされます。転倒による外傷以外は特に後遺症を残さず生命予後は良好と報告されています。起立に伴い血圧維持のため交感神経が興奮した結果、左室機械受容体が刺激され延髄から副交感神経の異常な興奮が起こり、血管拡張、心拍数減少といった迷走神経反射が生じるのがその病態です。

治療はODと同様な日常生活の注意と、末梢血管収縮作用のあるミドドリンが有効です。

7. 動悸、息切れ、胸痛

小児では安静時あるいは運動時、運動後に動悸、息切れ、胸痛を訴える機会が多いです。背後に心疾患がないかどうか精査を行う必要がありますが、殆どの場合、異常を認めないことが多いです。心臓に異常を認めない場合、胸郭の神経痛や心気症、運動不足、ストレスによる不安、薬剤、などが原因と考えられます。心電図異常や心疾患、心臓弁膜症、心炎、心嚢炎、などが見つかる場合もあるので専門医による診察、精査が必要です。

診察や精査の結果、心臓や肺に異常がないことがわかると、児の不安がとれてその後、同様の症状が軽減、消失することが多いです。動悸を惹起する薬物の使用を認める場合は、休薬や減量の必要があります。